東京都は1%、北海道は201%、そして広島は23%-これは何の数字かおわかりだろうか。県別の食料自給率である。東京や北海道の数字は予想できるとしても、広島の数値は意外なほど低い。日本全体でも40%にすぎない自給率だが、地域差はかなり大きい。概して北のほうが高く、南は低い。東北の4県は100%を越える自給率となっているが、南のほうは全般に低く、食の豊かそうな沖縄でさえ、自給率は28%にすぎない。
食料の6割を海外に頼るということは、世界各地の水資源を買い漁ることを意味する。食料の生産には、大量の水が必要であるからだ。牛丼一杯分の肉の生産でも、1.8トンもの水が必要である。地球の温暖化により、異常気象は日常化してきており、日本への食料輸出国である中国やオーストラリアなどでは、水資源が枯渇している。このような状況の中で、食料自給率40%という現実は、実に恐ろしいことだ。TVで頻繁に放映されている「グルメ番組」や「大食い競争」にうつつをぬかしている場合ではない。食は人の生命維持の根幹である。長期的な展望にたった具体的な政策が早急に求められる。現在、日本の政治を司っている人たちは、「将来に渡って、国民を飢えさせない」というビジョンを持って仕事をしているのだろうか・・・。私が最近感じる一番の不安であり、疑問である。
ひるがえって、わが花業界である。当市場における切花の輸入物のシェアは15%、まだまだ国産は主流である。しかし、全体量に占める広島県内産のシェアというと、20%にすぎない。ちなみに鉢物は29%という数値となっている。これは季節や品目によって大きく違った数値となってくるはずであるが、広島県の花の自給率は意外なほど低いのである。いずれにせよ、食料の広島県自給率と似たような数値となっているのは、同じ農業ゆえ偶然ではあるまい。「地産地消」が奨励され、地元で作った物を地元で消費することが「省エネ」の基本のように言われるが、県内産の花だけでは、花屋さんはできないようである。
「地元でつくったもんを大事にせえ言うても、県内のもんがえっとないんじゃけえ、どうにもならんよのう」