その19.団塊世代

 正確には、団塊(だんかい)の世代というのは昭和22年から24年生まれの人たちのことであり、その総人口は約700万人と言われている。戦後の第一次ベビーブームの総称としてとらえ、前後の年まで含めて言うと、約一千万人にも達する巨大な人口層である。「2007年問題」を持ち出すまでもなく、彼らの動向は日本の社会全体の関心事であり、これからの日本の消費動向と経済の行方を左右すると言ってもよかろう。

 私自身が昭和24年生まれだから、この世代のことはよくわかる。1クラスの人数はいつも50人以上、出席点呼に時間がかかったものである。学校給食は「脱脂粉乳」と「鯨肉」(若い人には意味不明かな)、漫画のヒーローは「月光仮面」と「赤胴鈴之助」、そしてスポーツのヒーローは「力道山」と「長嶋」であった。青年期に入ると「受験戦争」と「大学紛争」、漫画は「あしたのジョー」と「天才バカボン」である。音楽は「グループサウンズ」「反戦フォーク」そして「ビートルズ」であった。既成社会に反発した世代でありながら、会社においては見事に順応して「モーレツ社員」となり、高度成長を支える原動力となった。そしてバブルの崩壊、「窓際族」、リストラ、早期退職-それが団塊の世代である。

 退職後の時間の過ごし方に関するある国際的な調査によると、欧米では主に「ガーデニング」「旅行」「スポーツ」などが挙がるのに対し、日本は「再就職」の希望がダントツのトップであるという。「年金ではやっていけないから、働き続けざるをえない」のか、「働くことが生きがいと考えている」のか、その辺は定かではないが、いずれにせよ少々寂しい話であると思う。地球環境の悪化、格差社会、食料自給率の低下等々━現在の日本は、将来に全く明るいものが見えない時代になっている。彼らのこれからの生き方と、70年代の活力ある若者文化を生んだ一千万人のパワーが、少しでも若い人が希望のもてる社会になることに結びつけばいいのだが・・・。

「わしらあ、こまい時から損ばっかりしとるよのう。ほいじゃが、しまいぐらいは好きなようにしたいよのう」