「暑さ寒さも彼岸まで」などと言うが、春分の日を過ぎても広島地方の今朝の気温は4度、昨日は1度という状態である。昼間はさすがに暖かさを感じる気温になったものの、朝晩の冷え込みはまだ真冬並みで、私の朝の仕事の格好は2月から変わっていないのである。体感的には2月は例年よりも暖かく、3月はいつもより寒いという感じである。
ともかく、今年の冬の総括は“記録的な暖冬”ということになっており、消費動向もかなり変則的であったようだ。新聞報道によると、コートやハンドクリーム、灯油などは売れず、スキー場も雪不足でさっぱりという状況だという。食のほうでは、コンビニの「おでん」が売れず、鍋物に入る白菜、大根なども不振であった。豆腐製造業を営む私の友人も「今年の売れは最悪じゃわい」と嘆いていた。反対に景気の良い業界もあり、ゴルフ場は大幅に入場者数を伸ばし、コンビニのアイスクリームの売れも、前年比20~30%増であったという。わが業界に関係の深いホームセンターでは、冬場にも関わらず、園芸用品の需要が落ち込まなかったという。
わが社の2月のデータを見てみると、草花の数量は前年比115%と多めの入荷にも関わらず、単価は144%と非常に良い数字となり、金額的には167%という大幅な伸びとなっている。この数字を見る限り、新聞報道は間違っていないと言えそうである。花の業界は、入荷の増減、品質の良し悪し、相場の変動などに常に天候の影響を受けている。セリ人の中には「わしらの商売は“てきや”といっしょ。週末に雨が降ったらおしまいよ」と自嘲気味に言う者もいる。特に花苗の担当者は、週末の天気予報次第で買参の買いが大きく変わる、と感じるようである。天気で相場が決まり、売上げを左右されると考えると、少々さみしい思いもする。しかし、こう考えてみてはどうだろう。我々の業界は、1年を通じて温度や天候の変化と闘い、季節の流れとともに生活をしているのだと―。
「晴れの日もありゃあ、嵐の日もあるわい。えらい時もしんぼうして売っていくしかないよのう。」