その05.他市場

 8月の終わり、埼玉の「鴻巣花き」に行く機会があった。4年前に、二つの市場の合併により誕生した鉢物専門市場である。昨年の売上げは、約93億円で全国12位となっている。セリ方式は、映像を取り込んだ6ヶ所の機械ゼリ。セリ台の手前のポールを台車が通過すると、自動的に画面入力が行われる。アルミ台車3000台を使用し、見本ゼリでなく、すべての商品が現物でセリ台を通過する方式を採用している。セリが終わると同時に販売シールを貼り、50人のパート社員により、買参別に次々と分荷されてゆく。セリが終わって15分したら、仕分けはきれいにすんでいるという。実にうらやましい限りの作業効率である。これも広々とした施設と十分な台車、そして鉢物専門の市場であるからこそ出来ることであろう。

 かつての花満は、「花と緑の総合市場」をうたい文句にして順調に伸びてきた。忙しいながらも、切花・鉢物・植木の3部門が全体としてはうまくかみあっていたと思う。しかしこの10年位の間に、市場を取り巻く環境は大きく変わってきた。機械ゼリの開始、相対販売、さらにはネット取引の拡大など、従来の「セリ売り」のみでは対応できない状況となっている。わが社の社員の仕事量は確実に増大し、産地や買参への対応が他市場に比べて遅れがちとなってきた。いろいろな商品を扱う総合市場であることが、逆にハンディとなってきたのである。ここ数年、社内体制を変えることでかなり改善されたものの、依然として厳しい情勢であることは確かである。

「送ってきた荷をセリで一生懸命売りゃ伸びる、という時代は終わったんじゃのう。」