私は、今年の12月で勤続30年になる。もうそんなに年をとったのか―という感慨はあるが、特に誇らしく言うつもりもない。終身雇用、年功序列といった日本的な雇用体制が崩壊し、転職が「美徳」であるかのように言われる現況においては、少し恥じらいをもって「今年で30年になるんよ」とさりげなく言うくらいがちょうど良いのかもしれない。
それにしても私は、この世の多くの仕事、多くの会社から、今の仕事とこの会社を選んだ。いや、何かの運命のいたずらにより、今の仕事にたどり着いたという方が正しいのかもしれない。学生の頃には考えもせず、興味も全くもたなかった「花の仕事」に飛び込んで、はや30年・・・・・。人生というのはそんなものかもしれぬ。
「気がつけば ええ若い衆も 定年前」